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ロバート・クーヴァー『ユニヴァーサル野球協会』(越川芳明訳、白水社)

2018年9月5日
昼前まで寝、うどん食う。出、電車乗る。今日は『ユニヴァーサル野球協会』の日らしく、読む。野球ゲーム狂いの中年男性が、「公式記録ブック」に向かう。

この野球年鑑に、ヘンリーは選手成績から始まり記者の特電に至るまで、また、ひとシーズン通しての分析から一般的な野球理論に至るまでUBAのすべてを書き込んだのだった。要するに、どんなことで保存しておく価値があるということなのだ。文体も変化に富んでいた。余計な言葉を省いて実際的なデータのみを扱う極端に簡潔な文章があるかと思えば、スポーツ記者特有の誇張した言葉遣いがあった。また、理論家たちの科学的で客観的な文体があるかと思えば、随筆家や逸話作家たちの文学的な文体もあった。それに加えてテープに録音したインタビューや選手たちの寄稿記事、選挙関係の記事、死亡記事、諷刺、予想、醜聞なども混じっていた。年鑑では試合の細かな経過に触れなかった——たとえば、スター選手や主戦投手を喩えとしてもちだしたり、あるいは意図的に若干の思い違いを犯したりする場合を除いて、球団の分析にあたってはあえて選手個人に言及しなかった。それによって協会全体の概観的な視野が得られた。協会で起こった出来事から影響を受けやすいヘンリー自身の移り気な気分が記述に変化を与えた。壮大な考えがあれば皮肉な考えもあり、歓喜があれば絶望もあり、熱狂があれば無関心もあり、愉しみがあれば消耗もあるといった具合に、ヘンリー自身の揺れ動く気分が記述に変化を与えたのだ。最近は憂鬱気味でセンチメンタルな傾向があるのにヘンリーは気づいていた。すぐにそんな傾向を克服できることを願った。 ロバート・クーヴァー『ユニヴァーサル野球協会』(越川芳明訳、白水社)p.83,84

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