今日の一冊

2019.07.26
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####アレホ・カルペンティエール『バロック協奏曲』(鼓直訳、水声社)
2017年7月26日
閉店後、テレビの取材依頼というメールが来て、返信はまだしなかった。断るわけだが、どうして断るのかを考えながら歩いていた。テレビの取材を受けたらたくさんの余計な人が、やはり来るから、だから断るのだろうか。それとも、テレビの取材でまともに真面目に正当に扱われるイメージが一切湧かないから断るのだろうか。どちらもそうなのだろうが、僕の偏見でしかなかったりもするのだろうか。もしかしたらたいしてそれで余計な人が来るということもないのかもしれないし、でも僕が気持ち悪くなく取材を受けられる気はやっぱりどうしてもイメージできなかった。雑誌とかでも赤を入れまくらないと気が済まないのに、こちらの修正の手を加える余地がなさそうなテレビなんて最悪な扱われ方しか思い浮かばなかった。ナイン、ナイン、ナイン。全部違う。と言いたくなるだろうと思った。なぜドイツ語が出てきたか、それは先日ドイツ語を話している人を道端で見かけて、何語だったっけなと思っていたらナインと言ったのでドイツ語だったからだった。ではたとえば、取材をお受けします、10万円頂戴します。なお、この契約書にサインをいただき、禁止条項を破られた場合は追加で10万円をいただきます、みたいなことをふっかけてみるというのは一つの手なのだろうか。それでもやっぱり受けたくないのだろうか。でも僕はそこで即座に契約書みたいなものを作れるような技術がないから、できないことだろうと思った。20万円で魂を売るという売り値は適切なのだろうか。どうでもいいことだった。
20万円くらいだったら、破ってでも好きなことをしそう、というのがテレビのイメージだった。そんな時代でもないのかもしれないし、時代は関係なくそんなお金は払わないのかもしれないが。
以前よその店で、月一回テレビの収録に使ってもらっている、それは一日で月の家賃分くらいの売上になる、だからとてもいい、みたいなことを言っている方がいて、それはすごいなと思ったのを今、思い出した。でも怖い売上の作り方だよなとも思った、ディレクターとか、知らないが、の気が変わって場所が変わっただけでポッと消える数十万円。ポッと上がる余計な数十万円、と捉えればそれはしかし特に怖くはないのかもしれなかった。慣れたらやはり怖そうな気はするし人間はどうしても慣れてしまいそうな気もするが。
夜、だから、カルペンティエールを読んでいたところ期せずして読み終えられた。薄い小説だったが、それにしても終わった。なんとなくのまま目が滑るようにして読んでしまった。コンサートというかわーーーという場面がすごく楽しかった。解説はこれから読む。
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