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読書日記(133)

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4月20日(土) 

ここ数日頭がずっとぼんやりしていて変調という感じがする。調子が変。体調が悪いとかではなくてなにかがずれている。よくわからない。営業しながら下北沢のレイアウトのことを考えていた。小さくなる。どうやったらできるのか。想像力が問われる。それがない。

静かで、そうやってレイアウトのことを考えたり事業計画書のことを考えたりしながら営業する程度には静かででもよくよくと伝票を見てみればそんなこともなく悪くない調子でお客さんがいらした。夕方、全員が本を、同じような姿勢で手に持って、全員文庫本だろうか、読んでいる姿が目に入って美しいと思ってそれから幸福だと感じた。少しイ・ランを読んでいた。ありがたい、と思うことがいくつも書かれている。そういえば音は鳴り止んだ。メレディス・モンクに掻き消された格好だろうか。

はじめはどこからも招待されなくて、自分からあちこりに顔を出した。今はあちこちから招待されてちょこちょこ顔を出してまわる。そうやってまた十年後には、わたしはどこをうろついているのだろう? どこにも招待されなくなって、家で寂しく過ごして、登山にでも行くのだろうか? イ・ラン『悲しくてかっこいい人』(呉永雅訳、リトル・モア)p.99

夜になったら疲れていた。一ミリもやる気が起きない。そう打とうとしていて何か用ができて立ち上がって、それから座るまでのあいだに「一つやらないとなと思っている仕込み」を完了させた、さらにもうひとつ、「閉店までにこれも片付けておかないとな」だった仕込みも終わらせた。やる気とかではない、必要なのは運動する身体だ。体は一つのスイッチが押されさえすれば駆動する。僕を椅子から立ち上がらせることになる外部からの要求の声、それだけが必要だった。それがあった。あとはもう、流れに任せればいいだけだった。運動、というよりも自動する身体だった。ところで僕は「身体」を「からだ」と読ませられるのが苦手で、「身体」は「しんたい」であってほしいといつも思っている。

それなりに忙しいような気がしていたが夜に止まって、そうしたら目標値には届かなかった。目標値が高すぎるんだよ、と思ったり、これくらいでいいんじゃないか? と思ったりしてから、いや、いや、と思った。だからスタッフを増やす。だから? だから。だからかはわからないがヘルシーに持続させるにはそれが絶対に必要だった。そして増員させてなお利益を確保するためには目標値を下げるわけにはいかない。必要なお客さん数だった。ということは何度も言い聞かせないとすぐに忘れてすぐに見当違いのことを思う。

どうにも体が芯から疲れていてぼんやりと終わりの数時間を『キッチンの歴史』を読んだりしながら過ごしてから帰り、遊ちゃんが熱を出していた。寝たら一気に汗をかいてそれで熱は下がりつつあるようだったけれど風邪ということでやってあげられることもなく、水を渡した。僕は吉田健一を読んだ。

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この週に読んだり買ったりした本

マルセル・プルースト『失われた時を求めて〈5 第3篇〉ゲルマントのほう 2』(井上究一郎訳、筑摩書房)https://amzn.to/2v1ZyY0

吉田健一『金沢・酒宴』(講談社)https://amzn.to/2OIhwrr

ビー・ウィルソン『キッチンの歴史 料理道具が変えた人類の食文化』(真田由美子訳、河出書房新社)https://amzn.to/2Ue7akr

イ・ラン『悲しくてかっこいい人』(呉永雅訳、リトル・モア)https://amzn.to/2P2wZmA

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