本の読める店

ブルータス、お前でしたか

Entry blog fuzkue118

本日2月16日発売のブルータスに載っけていただいた。
「次は誰? 明日を切り開く人物カタログ。」という特集の中の、色々なジャンルの著名な方が「推薦人」となって「つぎのひと」を紹介するというコーナーにて。僕は内沼晋太郎さん(numabooks/B&B)にご推薦いただき、「本屋」というジャンルで、という形で。
(「本を売ること」というエントリーを先日書いたばかりだけど、書籍を売っているから本屋なんですと言うようなつもりは1ミリもなくて、そのあたりはいずれまた書きたい)

1月のある夜だった。

「多彩なジャンルの気鋭のクリエイターたちのコラボレーションによるカッティングエッジでアヴァンギャルドなプロジェクトをフィーチャーしたラグジュアリーなカフェ&ギャラリーをプロデュースするとともにストリートとカルチャーがイノベーティブに融合したトークセッションやパーティーというアプローチでニュースタイルのムーブメントをリデザインしてさらにネクストジェネレーションのリノベーションをハイセンスにアートするシンプルリッチでエレガントなテイストのプライベートバーラウンジがコンセプトのフヅクエです」
みたいな、そんなことを書いていた。

僕以外の人間が誰一人としていない店内で、度し難く暇で、やるべきことが何も思いつかなくて、オシャレなWebページを見ながらそこに出てくるカタカナ語を駆使してセンテンスを作ろうみたいな、クズのような遊びを露骨にニヤニヤしながらおこなっていた。
その遊びが佳境に入ったまさにそんな折り、ピロンという音だったか無音のポップアップだったかとともに内沼さんからの「推薦しました」という趣旨のメッセージを受け取った。拝受した。
「…!!しかし、こんなろくでもないことやってニヤついているどうしようもない店ですけど大丈夫ですか!?」というのが最初に思ったところで、実際そんなふうなことを返信したと思う。

そんなわけで載っけていただくことになった。

店を始める前、もし雑誌のお話とかがあったらどういうスタンスでいるべきかなーというのを考えたりはして、変な消費のされ方もありそうだし、露出ってよくないのかなやっぱり、とか、完全なる取らぬ狸を先に心配みたいなことをしてもいた。
ただオープンしてからは、来てくれた友だちなんかから「雑誌とか来てないの?ありうるんじゃないの、知らないけど」みたいなことを何度か言われたことでその気になっていったのか、「雑誌、ありなんじゃないかな、そういうの、とても!」という気分にいとも簡単に変わっていって。最近なんかは「だから来るといいな、何かしら!」くらいの。「後生だから!」とまではいかないけれど。

というのも、やっぱり認知が広がらないことには始まらないというかこのペースは完全にまずいなー、普通に早々にショートするよなー、というのがまあやっぱり一番シンプルなところで、だからちょっとそういう、外の声、可能ならばある種の権威を帯びた声(「より大きめの権威」とかの方が適切かもしれない。ほとんど誰しもが誰かにとっては権威として機能する時代なんだろうし)、あるといいよねきっと、そういうのでなんか上がんねーかなーのろし的な何か、みたいなところで。
あとはなんか雑誌で紹介されるとかによってなんか箔みたいなものが付着したらいいかもなーみたいな、「なんか知らないけど立派な場所みたいだよ、どうやら」的なことを誌面を通して思い込んでくれたら悪いことじゃないんじゃないかなーみたいな、リスペクト的なというか尊重的な種を植え込むと何かと有利に事が運ぶんじゃなかろうかなーみたいな、知らないけど、そんなところだろうか。
あとはあれだ、以前書いたように「商圏?んなもん、日本全国や!」とか大げさなことを掲げているため、「雑誌に載ったりしたら、それこそそういったあれにおいてはこの上ない足がかりになりうるじゃない?」みたいなところとか。

そういうわけでこのたびは、ブルータス、まさかお前でしたか、こんにちは、すいません、お初にお目にかかります、恐れいります、という感じで、願ってもいない話で、ありがてえ…と思いながら。

僕は東京における雑誌の影響力というものを知らないから推測でしかないけど、たぶん、今回のこれによって短い期間に集中してお客さんが増えるようなことは起こらないんじゃないかと思う。
これが本屋特集とか本に関するものだったら、そこにピンポイントに興味を持つ人が手に取って見て知って「へえ!」ってなって動いてっていうのは起こりやすいだろうけれど、「つぎのひと」に興味を持って今回の特集のブルータスを手に取って隅から隅まで目を通して特集の一番最後のページまで辿り着いて左下1/3ページまで目が届いてそこで「本を、ゆっくり読めるだと!?」と響く人っていうのがどれだけいるか、っていうところで、幾重ものハードルというかフィルターというかを乗り越えたりくぐり抜けたりの話だから、数としてはきっとそう多くないんじゃないだろうか。知らないけど。
なので、短期的な集客ではなくこれによって認知が広がって、「なんかそういうのあるらしいよ、そいうえば」の声がちまちまと発生し、そしてジワジワと、という取っ掛かりになったら最高だなと思っている。(認知って広がる?高まる?増える?どれなんだろ)

とは言え、たとえ短期的に混み合うみたいなことにはならないのであったとしても、今まで好んで来てくださってきた方の中にはその姿勢自体が気に食わないというか、「え、フヅクエ、そういう振る舞いするんですか、セルアウト的な感じですか、メジャーデビュー目指す的な方向性ですか、そうですか」みたいな落胆やら失望やらも起きうるだろうなとも思う。
それも承知しつつ、胚胎するいくらかの危険性も少しはわかっているつもりでもありつつ、「でもすいませんやっぱりこれは店にとってはチャンスなんです多分」というところだし、「あとほら、ブルータスに載れるだなんて今まで考えられもしなかったようなこと、そんなん断れるわけないじゃないですか、栄誉っていうか、だってブルータスですよ、あの」みたいな僕の中のキャッチーさが顔をのぞかせて、みたいなところもあり。

ここまででそういう感じが伝わっているんじゃないかと思うのですが、総じて「ソワソワしている」というのがいま一番しっくりくるところで。「小者のソワソワ」というか。

まあほんと、何かいい流れのきっかけみたいなものになったらいいですね、ととても思っている。
そういうわけで、なんかまあ、そういう感じです。よろしければご覧をというか。
(ちなみに写真は友だちに撮ってもらったやつで、iPhoneでいいよと言ったのにちゃんとしたカメラで撮ってくれた。「あご少し引いてみようか」「もうちょっとだけこっち側に視線、あ、いいねそのくらい」とか言いながら。結果、「なんなんだよお前のそのスカした真顔はwww」という恥ずかしさで直視できない。)

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