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今日の一冊

Entry 0309

ボブ・ラングレー『北壁の死闘』(海津正彦訳、東京創元社)

2018年3月9日
『北壁の死闘』は雑なロマンスと雑なキャラチェンジと総じて雑な展開はあるが、面白く、なぜか『北斗の拳』的な絵柄で想像しながら読んでいる感がある。と打ちながら気づいたが字面の問題だった。
字面の問題だったが、それに引っ張られてたしかに僕はなにかこの小説を漫画の絵で考えているらしく、リヒナーはなぜか『ドカベン』の犬神で、ヘレーネ・レスナーは『キャッツアイ』的な絵柄で、ヘンケは『北斗の拳』のなんかいかついなにかだった。『キャッツアイ』も『北斗の拳』も作品に触れたことはなかったからいい加減だった。犬神だけが、たしかにいた。

朝、起きる。店、行く。母と姉と姪っ子が来る。コーヒー、淹れる。トマト、焼く。店、出る。3人と隣の中華料理屋さんで昼飯を食う。五目あんかけご飯みたいみたいなものを食う。先に出る。雨がまだ降っている。電車に乗る。『北壁の死闘』読む。九段下で乗り換え、東西線に乗る。早稲田に着く。まだ降っている。傘は持っていない。フードをかぶる。早稲田小劇場どらま館に行く。
トイレに行きたかった。どうだろう、と思っていたら、劇場のトイレはすごくきれいで、ラッキー、と思った。それで範宙遊泳の『もうはなしたくない』を見た。その前に、席を取り、まだ時間があり、煙草を吸いたいなと思った。最寄りの喫煙所が地図で示されていてそこに従って歩いていくと早稲田大学のキャンパス内で、ものすごくひさしぶりに早稲田大学という場所に行った気がした。いつ以来だろうか、学祭を見に行ったときだろうか、10年前とかに。大学が近づいてくるにつれて、大学だ、来るぞ、来る来る、という感じが起きて、なんというか大学の町というのはいいなあ、と思った、僕は考えてみたらこういう大学の町というのは知らないというか、僕が通っていたキャンパスは駅からバスで行くような、キャンパスだけが孤立してあるようなところだったから、駅から歩いていけて、古くからやっていそうな喫茶店や定食屋みたいなものが通りにチラチラとある、大学のある町、みたいな町をそういえば知らなかった、キャンパスライフ。それだけで胸がキュンとするようなところがあった。一瞬なにか、またそういう時分に戻りたいような、味わってみたいような気になった。大学生なんて、物語しかない。そうだったっけか。

一服し、戻り、開演に先立って『北壁の死闘』を読み、開演したので見た。3人の女の話で、女たちはそれぞれによかった。スリリングだったしよく笑ったし、笑顔は固まった。
音に恋すること。発する音に信頼の根拠を置くこと。それから、わーっとなって、音楽が大きくなって、3人が踊る、その場面で震えたというか、水色の女が椅子に手を掛けながらアンニュイに体をしならせるのを見た瞬間に、ゾクゾクっと体が震えた。それから涙ぐんだ。

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