本の読める店

This Must Be The Place

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本をゆっくり読める場所がほしいなとずっと思っていた。
もちろんスタバでも、小さなカフェでも、ファミレスでも、図書館でも、漫画喫茶でも、電車の中でも、読めないわけでは全然ない。
ただ、僕の中ではどの場所も読書のために最適化されている感じがしないところがあって(そりゃそうなんだけど。「そりゃそう」でもないものとしては図書館と漫画喫茶だと思うけど、前者は僕には静かすぎて、後者は僕にはわびしすぎる)、ここがもっとこんなふうであってくれたら俺もっとこうあれしちゃうんだけどな、みたいなことをいつも思っていた。

その「こんなふうだったら」ポイントの最たるものは読書への没頭とは極めて相性の悪い、よその席で発生する会話だろうと思う。
心地いいな、ここで一人ゆっくりしたいなという店があったとして、でも静かか、しゃべっている人がいるかは行ってみないとわからない。今日は当たりか、外れか、みたいな賭けがどうしたってつきまとう。イヤホンをしちゃえばいいわけだけどイヤホンで耳を塞ぎたくない気分のとき、あるいはイヤホンをしにくい雰囲気の店もあるわけで(少なくても僕には)。
今回このフヅクエという場所については会話はご遠慮いただくということにした。静かな時間を過ごしたい人にとってノーリスクかつノー脅威みたいな場所にしたい、と。

いろいろとおかしなところのある店かもしれないけれども、ひとまずは「僕だったらこういう店にいきたい」という店を目指してみようと思う。 やってみて、やばいな、俺と同じニーズ持ってる人なんてまるでいないんだな、完全にひとりよがりでしたわ、という壁にぶち当たったら何か変えていくかもしれないけど、始まりくらいは自分と、自分が生きる世界みたいなものを信じきってみてもいいんじゃないかな、と今のところ思っている。

2ヶ月半の工事期間が終わって迎えた開店初日、10月17日の17時(今のところ本来の開店時間は16時です。いきなり1時間遅れてしまった…)、開店と同時に僕はトーキング・ヘッズの大好きな曲「This Must Be The Place」を流した。
本来であればじっくり、もっと言えばコーヒー片手に、聞きながら、口ずさみながら、「よし、さて、いよいよ、それじゃひとつ、がんばりますか」みたいな門出っぽい感じの場面にしたかったのだけど、あれもやんなきゃこれもやんなきゃとバタバタワタワタしていたため全然それどころじゃない感じでろくに聞きもしないみたいになったことが悔やまれるが、言いたいことの要は変わらない。このフヅクエという場所が、誰かにとっての「わ、まさにここじゃん」な場所になったらとてもいい、ということだ。

photo by Fieldrecording.tokyo

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