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Hanako No. 1139「COOL TOKYO!! 夏を涼しむ東京ガイド」

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掲題の雑誌でご紹介いただきまして今朝「東京五輪:夏のTOKYO 暑すぎて選手も観客もヤバイ!」という毎日新聞のwebの記事を読んだらやっぱり「TOKYO」という字面が僕はとても好きだと思って、さらに「COOL TOKYO」ともなれば四つも「O」が並ぶことになるわけでとってもよくて、その記事は五輪開催の時期の東京は度し難く暑くて特にマラソンとかどうすんのという話で決して「COOL TOKYO 2020」とはいかないようで「HOTTEST SUMMER 2020」、この夏、誰よりも熱くなれ、「この時期は晴れる日が多く、かつ温暖で、アスリートに理想的な気候」と招致のときにはアピールされていたというのだから「ただの嘘じゃんかよwww」とクソみたいな笑いがこみ上げるし「暑さを避けるため10月開催を提案したドーハ(カタール)は1次選考で落選した」というのも相まってこの不誠実が跋扈する世界というかなんだろうか、不誠実が跋扈する、大きな顔をする、いろいろと持っていく、そんな世界というか世界は大きいですが、いろいろと持っていくあれこれは本当にいろいろといけないだろう、不健全だろう、とけっこう強い嫌悪感を抱かざるを得ず、理想的な気候なのであれば今度から運動会はこの時期におこなうようにしたらいいのではないかと思うのですが選手にとってもそうだしボランティアや観客にとっても過酷な暑さという話で「検討される暑さ対策イメージ」という冒頭にある図を見てみると「放送などによる情報提供 冷房完備の休憩スペースの確保 自動販売機の増設 給水機器の増設 検査員の増員など 退場時の分散誘導 日よけの設置 大型扇風機の導入 うちわの配布 街路樹による木陰づくり コンビニとの協力」とあって、最後のコンビニとの協力がけっこうなんか強さがあったのかなんだか笑ってしまったというかひとつひとつ大事なことなんだろうけれどもすごく末節な感じがして、まあひとつひとつ大事なことなんだろうけれども、その前にやることがあるだろというかというかそもそもやるなよというか、なんだかすごくバカバカしい寒々しい気分になってこういう日々読むニュースのひとつひとつが夏を涼しくというか薄ら寒くさせるために私たち市民に提供されているということなのだろうかと深読みせずにはいられないというわけでもない。深読みはしないけれどもクソみたいな寒々しい知らせはたしかに日々与えられている。
それはそれとして「涼しむ」という言葉はどうやら古語(文語?)のようで変換しようとしても「鈴シム」となるのだけれども特集タイトルで変換できない古語(文語?)が使われているのはきっと何か意図や狙いがあるところのはずで、開いたらどこかにいきなり書かれていたりするのかもしれないとも思ったりもするのだけれども「検討される暑さ対策イメージ」を見てなのだろうか、その、五輪開催中の、スタジアムに入るまでの情景であるとかが喚起されたのか、この「ほんとダメだろニッポン!」という、「ダメ。ニッポン。」という、そういう記事を読んで「こんな五輪ほんとボイコットしたほうがいい」みたいな、「今からでも中止にしたほうがいい」みたいな、そういう意見もたくさんあろうしもしかしたらそちらの方が大きい声だったりするのかもしれないなかでこれはなんかもしかしたら危険で迂闊な発言だったりするのかなと少しビクビクするところはあるのだけれども僕はその「検討される暑さ対策イメージ」でイメージができてしまったのか、なんだかふいに、「あ、オリンピックがなんかすごい楽しみになった!」という気分がまさかのところで湧き上がってしまった。
なんでもいい、何かの競技を見にクソ暑いなか出かけていってバカみたいな行列に並んだりして、で何かの競技を見て、予選とか、見て、席があれで死角で大きい画面が見えないしだから直に見るしかなかった、そのことはむしろ、せっかく見に来ているのだから画面に目を奪われるよりも、いくら小さくてもちゃんと生で——スタジアムの空気を全身で感じながら——見た方がきっといろいろ体験として豊かなはず、そうすんなり自分を思い込ませることに成功したのでそれで別段かまわなかったし、だから選手は豆粒くらいにしか見えなかったしどういう趣旨の競技なのかも最後までよく理解できないままだったのだけれども「あれは強かったねえ」と言って帰った。なんとなくそこで勝ち上がったウクライナの選手のことが気になってその後もその競技がどうなったのかネットで確認したし、せっかく見たときに勝った選手なのでずっと勝ってほしいなとなんでだか思い入れみたいなものをにわかに作り上げていたのだけれども翌日の準々決勝であっさり敗退していた。つい「あっさり」と思ってしまったが最初にして最後の五輪出場だった彼にとってはすごくたくさんの思いを味わいながらここで過ごした時間がたしかにあったしそれにここに至るまでの時間が長い長い影のように後ろに伸びているわけだからあっさりでもなんでもなくてその先何度も何度も思い出したのは何箇所かにできていた空席のブロックでありべったりと包んでくる歓声でありスタジアムの上に広がるというよりは嵌め込まれたように見えた明るい白色の空だった。

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