本の読める店

『OZ magazine 2017年2月号「ひとり東京さんぽ」』

Entry blog fuzkue431

初台の歴史は知らないのでもしかしたら昔はそうだったのかもしれないけれど近くのマンションなんかはそのわりと多くが「代々木」を名前に付していて、初台って言おうよ!初台にもっと誇りを持とうよ!とよそものの僕は思わないでもなかった。僕は初台という町が極めて好きだった。ということは何度も繰り返し書いている気がする。静かでガチャガチャしていないのが本当にいい。それでいてこの渋谷・新宿との近さ。大好きだよほんと。
そういえばそれで思い出したのだけど以前エゴ&サーチしていたところ見かけたページにこんな記述があった。「初台www」という感じでとてもいい。

ショップが充実している「東京オペラシティ」が徒歩圏内にあり、その他にも「マクドナルド」や「CoCo壱番屋渋谷区初台店」「松屋」のようなカジュアルな飲食店、「珈琲館初台オペラ通り店」「エクセルシオールカフェ東京オペラシティ店」「fuzkue」などのカフェも充実しています。 ≪初台≫ プロスペクト初台 – タワマンLovers

ふざけて書いているようにしか見えない。また、2年前くらいだったか、ウォーカームックと呼ばれているシリーズらしいKADOKAWAが出しているエリア情報みたいなムック本が「笹塚・幡ヶ谷WALKER」で出て、見事に初台はのけものにされていた。さらに今ググっていたら「ささはたドッとこむ」という「笹塚・幡ヶ谷・西原の10商店街が合同で立ち上げたWEBサイト」が見つかった。
幡ヶ谷も、手を組むならば初台よりも笹塚という意識が強いのだろう。たった2駅の京王新線仲間なのに、まるで関せずといった態度だ。だいぶ以前に僕は「京王新線は初台か幡ヶ谷でおりる人以外は乗る必要がない線なのだから極めてまぎらわしい新線などではなく初幡線に改称すべきではないか?」という実に有意義な提言をおこなったことがあるけれど、とても実現しそうにない疎遠さだ。

そういうわけだから、フヅクエを「さんぽのゴールに指名したい帰りたくなる名カフェ」コーナーにてご紹介いただいた掲題の雑誌の特集におけるエリア区分を私たちは喜びと驚きをもってまずは寿ぎたいと思う。これまでマンション名には「代々木」と付け隣町からは無視されるという不遇をかこってきたこの町・初台の民は快哉を叫んでしかるべきだと思う。なんといっても、「代々木上原〜初台」だ。
「幡ヶ谷さんなんかこっちから願い下げですわ!うちは代々木上原さんと仲良くさせていただきますんで間に合ってますんで!そちらは笹塚さんと二人で存分にぴーぴーやっていてくださいね!ぴーぴーぴーぴー!」
そんな声が、一日中音漏れみたいなかすかなノイズを放送しつづけている初台商盛会のスピーカーから聞こえてきた気がしたのだが、僕の聞き間違いだろうか。僕はそれを聞きながら「さすがに言い過ぎでは。でも初台もよっぽど寂しかったんだろうな。前は「奥渋谷をここまで伸ばすわけにはいかんのか?」みたいな声が聞こえたこともあったしな」と思ったのだったが。

ところで、パドラーズコーヒーと同じページで紹介いただいたということも僕にとってはうれしいよろこばしい光栄なことだった。なぜならとても好きな店で一時期とても頻繁に行っていた店で、そこで飲むカフェラテに、そこで過ごす15分とかに、どれだけいろいろ助けられたことか、という店で、たぶん同じとかの年齢であろうやってらっしゃる方々をひそかにかっこええなーと憧れとかそういったものに類する感情で思っていた店で、という店なので「ほーパドラーズと一緒に載っちゃった」と思った次第だった。
それはそうとパドラーズコーヒーというと所在地は西原ということになるけれど、この西原という町の名もまたなんというか何かしらの意識が貼りついたものである気がする。初台に暮らすまで西原なんていう地名を僕は知らなかった。駅からの近さを考えれば幡ヶ谷と言ったっていいのではないかという位置だが、西原は「幡ヶ谷?」と聞かれたらその都度「いいえ、西原です」と答えそうな感じがする。これは初台でありながら代々木を名乗るときのなにかの庇護を求めるような弱々しい心性ともまた違う、「幡ヶ谷とうちは別の場所です」という挟持を感じる。「幡ヶ谷っすか、あー、なんだろ、そもそも京王線って乗る機会ないんすよね、だからっすかね、幡ヶ谷って意識する機会自体があんまないのかもしんないすね」と西原は言った。「基本全部チャリなんで、移動。京王線って新宿までっすよね?あんま行かないっすけど行くにしてもチャリでちゃーって行くっすよね、一瞬すからね。あー、雨の日はあれっすね、オフィスが表参道なんで、上原まで歩いて千代田線っすね、あと彼女が祖師ヶ谷大蔵なんで、そのときは小田急で。あ、同じ会社っすね、元はっていうか今もっすけど会社の先輩で、年はタメなんすけどプライベートでも僕たまに敬語になるっすからね。まあだから上原はわりと使ってる感じで。上原がいいのは、飲んで帰るじゃないっすか、帰りの駅から西原までっていい感じにずっと上り坂で、歩いてると酔い覚ましになるぐらいの距離だしなんか好きなんすよね、しかも雨降ってるとか、雨降りの夜の上り坂のしかも酔ってるってときの気持ちよさってたぶんこれ体感しないとわからない気持ちよさっすね、すげーいい具合っすよ、いやほんとに。そもそも歩くの自体好きなんで、まあトレッキングとかも好きっすけどでもそんな言うほどガチじゃないっすけどね、でもキャンプとかアウトドアは基本ひと通り好きっすね、仲間と月一くらいで車出してどっか行くっすね、いや真冬って一番気持ちいいかもしれないっていう説がむしろあって、僕らわりと早い時間にテント入って寝ちゃうんですけど、その代わりっていうかすげー早起きして、でまだ夜じゃねーかよとか毎回言いながらソッコーでチャイ作るじゃないですか、さみーとかねみーとか言いながら、あれスパイスどこだっけとかなんか毎回言っててお前それほんと毎回だなとか言ってウケるんすけど、それで外に椅子出してキンキンに冷えた空気感じながら、なんかすげーいいんすよ、なんかぽつぽつっすね、ちょっと話すってか語ったりして、でだんだん夜が明けてって、太陽がのぼって、最初のあののぼるときの出てきたときのチカッて赤く輝く瞬間あるじゃないっすか、そのときだけはみんな無言なんすよね、 でのぼりきって、なんか夜だったのが朝になってるよみたいな、妙に感動しちゃって、いやこれがめっちゃ最高なんすよ、来月とかどうっすかよかったら一緒に、気のいいやつらばっかなんで全然ウェルカムっすよ、2月、ザ・ベストシーズン、激寒いっすよ、でもそれがほんと超最高なんだって絶対体験したら思うっすよ、あと最近ハマってるのはなにげに碁っすね、囲碁、あれはガチで打つと頭めっちゃ使うしそれと同時に感性が本当に大切で、

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