読書の日記(2/5-11)

2024.02.16
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書籍版新作『読書の日記 予言 箱根 お味噌汁』『読書の日記 皮算用 ストレッチ 屋上』が12月に発売になりました! 
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抜粋

2月5日(月) 

電車は運行は続いているが遅れながらのようで、たしかに乗ってみると、隣の幡ヶ谷でしばらく停車して、次の笹塚で詰まっているらしい。幡ヶ谷で停まるのは初めて。そのあとも桜上水で停まったりいろいろ詰まりながらゆっくり流れ、ふと、いやいや、まだ5だぞ、今月あったとしても9とかなんじやないのか、前回の日付とかを見る限り、と思いながらも、でももし、今夜それがあれば、静かな雪の夜に、それはとてもいいのではないか、そう思いながら、前回の反省を活かす目的で、効果は不明だが、スマホを遠く離して、「氷の城壁 発売日 9巻」と検索すると出てきて2月2日! 最高だ! 緻密なリスク管理は功を奏して余計になりかねない文字は見たが致命的なものは何も見ずに済んでよかった。30分遅れで調布に着いた電車からウキウキしながら降りるとトリエに直行し、入り口の前にはそんな大きな看板は普段はどこにあるのだろうという看板が行く手を阻むように立ち、その両脇には普段はこの位置に立ってはいないであろう格好の人がふたり仁王立ちになって、看板を見ると積雪のため20時で閉店、ということを告げていた。今は20時17分。

2月6日(火) 

下北沢。ボーナストラックに行って店に入ると瀬崎くんが働いていて布巾を回収し、本にサインを書き、住民税の納付書をピックアップし、これで用事は済んだので出て銀行、住民税納付。わりとすぐに住むと今日はTSUTAYAづいているのかTSUTAYA BOOKSTOREに入ってコミックコーナーで『氷の城壁』をピックアップして9巻の表紙は美姫の弟と熱川さんで、熱川さんの狙いが見えないんだよな〜と思う。とても楽しみだし、そして1巻だけということにすでに物足りなさというか、10巻も読みたい! となっている。今晩楽しみたい。楽しみすぎる。

2月7日(水) 

ひげ面はわーっと叫びながらブランドに襲いかかってきた。だが、そのパンチは、彼にではなく、壁に描かれた悪魔の、ちょうど腹に入った。ふいに広がった、ほとんど神秘的な静寂のなか、乾いた二つのパンチの音が牢内に響きわたった。二回ドスだ、二回ドス、とりまきたちがどよめいた。二回ドスだ、二回ドス、まだ頭がはっきりしている酔っ払いどもが繰り返した。二回ドスだ、二回ドス、ほかの牢の収容者たちまでがつられて喚き始め、母さん、ごめんなさいと声をからして泣き叫んでいた犬野郎までが合唱に加わった。二回ドスだ、二回ドス、みなが叫ぶ。二回ドスだ、二回ドス、ブランドも思わずつぶやいた。 フェルナンダ・メルチョール『ハリケーンの季節』(宇野和美訳、早川書房)p.229
食事処じゅうに二回ドスだ、二回ドスの声が重く分厚く響きわたって圧倒され、それからほどなくして小説は終わり、時間は9時くらいだったか、最初に風呂に入ったのが2時45分とかだった、風呂の時間を長く見積もったとしても4時間は本を読んでいることになる。こんなにゆっくり本を読めたのはいったいいつ以来だろうと思う。体の芯からうれしいというか、じわじわと、今日は本当にめちゃくちゃゆっくりできたな、という充実感が広がる。読み始めに感じていた読めないかもしれないという不安も、時間が経つごとに薄くなっていったというかいつか消えていた。馴染むまでの時間が要るということだろう。きっとフヅクエでも起きている感覚だろう。いい休日だった。

2月8日(木) 

帰ると肉をマリネして、でも面倒だなと思う。明かりをつけないまま、カッパえびせんの小袋があったので食べ、それからポテチがあったので食べる。ソファで延々とサッカーの記事とかを読みながら。読んでいると日本とイランの試合を見てみたくなってTverとかで見られないのかと思ったが見られなかった。なんの気力も湧かない。ひどい気分の日。漫然と『証人』。『2666』を読みたくなっている。

2月9日(金) 

仕事終わりモードになったのでマンチェスター・シティとブレントフォードの試合を見ながら焼き上がりを待って、仕事を終えた遊ちゃんも出てきて『氷の城壁』の話をして熱川さんと美姫の弟のことで、こう考えると辻褄が合うのかもしれない、という新説を披露する。遊ちゃんは心配していたが僕はむしろ楽観していてここが底ならばここからは浮き上がる、楽しいことが待っている。きっとハッピーエンドに違いないと思っているから。人生もそう考えられたらいいのですが、出口が見えない、どんな出口があるのかわからない。

2月10日(土) 

サッカーは前半で終えて『証人』。やっぱり『消去』を読みたい気持ちになっていく。でもそれも怖いは怖い。毎日3時間読書の時間が取れて、僕が5人くらいいたらたくさん本が読めるのだが、と思ってから寝る。

2月11日(日) 

そろそろ起きないとと思いながら寝ていると遊ちゃんが部屋に入ってきて「るるるー、るるるるるー、るるるー、るるるるー」と顔はやや上向きで、両手は下で開いて、緩やかに体を揺らして、熱唱し始めた。大奥についてのドラマを見ているらしく、そのテーマ曲とのこと。拍手をしてから起き上がると歯を磨いた。
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