読書の日記(7/3-9)

2023.07.14
353.jpg
肋間にやつがいる、一日シフト、吉田健一から庄野潤三へ/神経ブロック注射、イ・ラン、岡崎慎司と滝口悠生/シャツインシャツ メンズ、オープナー兼クローザー、オフィスマウンテン/深大寺温泉、土と青、子供と子どもとこども/『推しの子』、現実逃避、本を読めない/AmmonContact、コインランドリー、生活

抜粋

7月3日(月) 

疲れていて、ソファで動物の動画を見ながら長いことダラダラする時間を経て布団に。過去日記を読んでいると吉田健一と庄野潤三の時期で、『旅の時間』を取ったのもそれに影響されてのものだった。「飛行機の中」が終わったこともあり、今度は庄野潤三を読みたくなった、それで前に盛林堂書店で買った『前途』を持って布団に入り、帯に「学徒出陣」とあるから戦争の小説らしかった。開き、少しすると函入りのその本のビニールのカバーがパキパキとうるさいので外して、それでしばらく読むと寝た。

7月4日(火) 

午前の受付終了直前の整形外科は思ったよりも空いていて、それでも20分くらいは待ったか。呼ばれて「肋間神経痛が再発の予感」と伝え、もう言葉はそんなに要らない感じだ、では注射だというところで隣の処置室に移って横たわり、僕は痛みっぽいものがある箇所、注射が打たれるべき箇所を探して指で押さえる、看護師がそこに何かを塗り、先生がやってくるとすぐに注射が打たれ、額に汗が浮かぶような痛みを覚悟していたし今はいくらでも痛くていいから、これから痛みがないように、思う存分にやってくれ、と腕を広げて痛みを招き入れるような心地で打たれたが、思ったよりも痛みはなく、すぐに終わった。明日は鍼の予約をしている。日曜鍼、火曜注射、水曜鍼、さあこれでどうなるか。

7月5日(水) 

店、アイスコーヒー、午前、月例会。演説。僕たちは僕たちの振る舞いによって誰かの一日をダメにしちゃうこともできるし、すごくいいものにすることもできる。それって店で働くことのけっこうな醍醐味だと思う。ということと、洗い物も接客である、という話と。
終え、佐藤くんとミーチング、そのあと朝飯、そして開店。今日は変則的な日でいったん4時までで、抜けて、10時から閉店まで。だからオープナー兼クローザーということだった。4時までをオープナーと呼ぶのはいささかためらわれるが。

7月6日(木) 

バス停に出てほんの少しすると側面に「深大寺温泉」と書かれたマイクロバスというかバンというかが来たので乗って、6時59分に出た。マニュアル車でハンドルの左横のレバーが上下にリズミカルに動かされるのを見ながら車は北に向かい、事前に遊ちゃんが言っていたとおり路線バスとはまるで違う経路だった。10分で着くらしく、バスの感覚だと深大寺まで10分というのはとても想像ができなかったが、たしかに10分だった、あっという間に深大寺温泉だ。送迎バスから降りたら立ちくらみがして、横で遊ちゃんも立ちくらみをしていた。

7月7日(金) 

目が覚めて、重苦しい気持ち。ツイッターを見ていたら漫画の広告が出て飛んでいったら「ヤンジャン!」というアプリをインストールしてそれでそれは広告で出ていた漫画とは違ったが『推しの子』という漫画を読み始めていた。ダラダラ読んで、次へ次へと読んでいくといつまで経っても読めて、これどこまで無料で読んでいいわけ、まだいいの、まだいいの、と思いながら読んで3時間くらい読んでいた。肋間が痛い。昨日もひどい売上。あらゆることが苦しい。感情と距離が取れなくて、ベタッとゼロ距離でそれがあって、コントロールできない。ゼロ距離だったら見えないわけだから、コントロールも取れないわけだ。感情は伸ばした両手の上に置けるくらいの距離が必要。それが取れない。

7月8日(土) 

終電まで2分となったところで切り上げ、原稿を読みながら帰った。けっこう苦しそうな時期で、同じような陰鬱な気分を繰り返していることがよくわかる。あらゆることにやる気が湧かない、関心が湧かない、4年前の4月はそういう状態だったようだ。調布に着くとコンビニに入る、ビールを買う。外に出ると先にレジだった赤い缶のビールとつまみを買った人が少し前を歩いていて方向が同じだ、トリエの広場のところを進み、男は奥の木の平たい広いベンチのひとつに座った、僕は少し手前のベンチに座った、向こうから缶を開ける音が響いた。僕はビールを口に運びながら原稿読みを進める。今はやっと500ページくらいのところで今月中にあと800ページ以上。間に合う気がしない。

7月9日(日) 

4時頃に初台に着いた。眠い。体がぼーっとしていて思い出せることがない。6時から店番だった。疲れすぎている。今は月曜の夜8時過ぎ。頭がまったく動かない。昨日のこと。帰り道にAmmonContactを聞いていたことは覚えている。昔の日記を読んでいるとそのとき聞いていた音楽がちょこちょこ書かれていてミュージックガイドになっていい。調布に着いて階段を上がるとイヤホンを外して、駅前広場の円形のベンチのひとつにスケボーを持った4人か5人の集団がいて円の真ん中は植物が出ているんだっけか、ただ高くなっているんだっけか、そこに登っている人もいた、だから3人とか4人がぎゅっと塊になっていた、もうひとりはその近くをスケボーで滑っていて車輪とアスファルトのこすれる音が鳴り、ベンチに置かれた何かしらのデバイスからはメロウないい感じのヒップホップが流れていた、ゲラゲラと楽しそうな大きな笑い声もそこに混ざって、夜の、気持ちのいい夜の音だった。僕はその前を疲れた体を引きずって歩いて、まだビールは手にしていない。ビールを買うのはもう少し先に行ったら。
・・・
残り約8,000字のフルバージョンはメールマガジンかnoteで読めます