読書の日記(6/5-11)

2023.06.16
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疲れている、スニーカー買う、ウォーキングする/西荻窪作戦会議、セブンのラーメン、『Number』/日記を書く日、日記向きの人、SPOTV NOW/パン屋さんはすごい、マイバッグへの抵抗、『サッカー店長の戦術入門』/異例の日記、暇の理由、下北沢パニックダイイングメッセージ/ツタヤブックストア、FAカップ決勝戦、『線が血を流すところ』/弱い指圧、ユー・ウェン、ネガティブな事象

抜粋

6月5日(月) 

疲れている。先週は月曜は昼番を経て下北沢に、火曜は午前のミーチングを経て渋谷に行って信金での借り入れ手続きを経て下北沢に移ってそれから初台に移ってクローザー番、水曜はミーチングミーチングで夕方以降どうしていたのか思い出せないがクローザー番、木曜は昼番で6時まで、金曜は短い昼番を経て下北沢に移って夜まで翌日の準備とか、土曜は昼は虎ノ門でトークイベントでそのあと夜番、日曜は一日番、というのがカレンダーが教えてくれたことでその前の週は月曜は昼から動き出して夜番、火曜は7時までの昼番、水曜からトークイベントの準備が始まってクローザー番、木曜は複数のミーチングのあと準備、金曜は6時までの昼番のあと遅くまで準備、土曜が3時までシフトで夜はトークイベント、日曜は一日番とこの2週間は身体的にも精神的にも休む間がまったくなくてこれで疲れていなかったら鉄人だから疲れててOK。

6月6日(火) 

死都調布。初台で降っていた雨は調布ではやんでいた。駅前の広場は濡れていた。最後の電車から出てきた人たちが歩いている。人の声はなく、足音のペタペタという音だけが鳴る。僕の靴はクッション性が優れている。交代のときに榮山さんにニューバランスの靴を買ったと報告したら「クッション性が優れているんじゃないですか」というようなことが言われてニューバランスの特徴らしい。昨日はウォーキングしていたら走り出しちゃったんですよと言ったら「ニューバランスのソールは後ろが高く前が低くなっているから前に前に行きたくなりますよね」というようなことが言われてよく知っている。

6月7日(水) 

珈琲館に着いたのは7時くらいだったか。今日は日記を書く日。先週の火曜日から書かれていない。正確には土曜日と日曜日の最初の段落は書かれていて、だから火水木金と日の後ろが書かれていない。水曜日に前週火曜日の日記を書くというのは完全に異例というか、7年近く続けてきた日記で初めてのことかもしれない。初めてのことになるくらい、今はいろいろなことがぐちゃぐちゃになっているということでわかりやすくていい。隙間がどこにも見当たらないということでわかりやすくていい。

6月8日(木) 

初台。パン・ド・ミを買いにパン屋に行き、スライスしてもらうのを待ちながら陳列されたパンを見ている。たくさんの種類のパンがある。抱えるような大きさのまるまるとしたパン・ド・カンパーニュが見えた。買う人がいるのだろうかと思ったが、誰かが買うから毎日焼かれているわけだ。パン屋さんはすごい。と思ったら『水平線』の三森来美を思い出してパン屋さんの仕事についての文章が本当に好きだった。

6月9日(金) 

豚と玉ねぎのやつ、ピーマンの和え物、切り干し大根としいたけのトマト煮、レバーと大葉のやつ。どれもすこぶるおいしい。倒れるように眠る。

6月10日(土) 

ゆっくりで、早めに榮山さんに休憩に出てもらったらその直後からお客さんとオーダーが動き出し、榮山さんが休憩から戻ってからさらにギアが上がっていく感じがあった。5時で田村さんと交代の予定だったが結局7時すぎまでワチャワチャと働き、そのタイミングで下北沢からダイイングメッセージみたいなヘルプ要請があった、「短時間でもどなたか」とだけそこには書かれていた。なんだか大パニック中らしく、酒井さんと僕が行くことになって初台から下北沢にワープ。高架下のところで人が上手に歌をうたっていた。宇多田ヒカルの「First Love」が歌われていて、男の人が歌っていた、かっこよかった、いい曲だった。

6月11日(日) 

終わってボーナストラックで仕事をすることも考えたが体がふわふわと眠く、疲れ、調布に戻る。帰り道は小説を開いた。ジョシュアとクリストフが母親を迎えに空港まで車を走らせた。ニューオーリンズ。
建物のバルコニーはずいぶんひしゃげて、そのうちトランプのようにばらばらと崩れ落ちてきそうだ。伸びきっただぶだぶのTシャツにミニスカートを穿いた女たちが、前屈みになって少年たちの髪を編んでいる。脚の間に座っている彼らの上半身は裸か、そうでなければ首まわりの大きく開いたオフホワイトのTシャツかランニングシャツ。先に髪の仕上がった連中や帽子をかぶった連中は、いまにも通りの角から飛び出して道を渡っていきそうだ。ビールと食料品、ザリガニとエビのポーボーイ・サンドイッチを売っているデリカテッセンの店先のしみだらけの歩道では、少年たちがサイコロゲームに興じている。仲間同士でしゃべりながら誰かが口を開くたびに、ゴールドの歯がきらりと輝く。灰色の髪をした年配の女たちがだらりとしたロングスカートを穿いてデリカテッセンの薄暗い口の中へ入っていき、小さな茶色い紙袋を持って出てくる。サンドマンを彷彿とさせる男たちが歩道を歩き、緩慢な車の流れにはおかまいなしに通りを渡る。車の間を踊るように縫いながら、かっと目を開いてフロントガラスをにらみつける。ところどころ瘤になった半分アフロ、半分ドレッドの豪華な髪を恐怖ドレツドに逆立てて。 ジェスミン・ウォード『線が血を流すところ』(石川由美子訳、作品社)p.211
見事だなあ、と思いながら読む。順を追って情景が立ち上がり、一枚の広い絵ができあがるようなそういう一段落。
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