今日の一冊

2019.07.25
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####保坂和志『小説の誕生』(新潮社)
2018年7月25日
いくつかの条件が重なってのことだったと思う。これだ、という読みたい本がわからないこと、体にやたらな疲れを感じていたこと、夜までに調子よくお客さんが来たためここから先ゼロでも今日のバジェット的にはもうオッケーだったこと、それなのに、どんどん読んでいいんだよというそんな状況なのに、なんだか読書に食指が動かないということ。喜び、どこにあるの? みたいな気持ちになったらしかった、それで、こんなときは保坂和志だ、と思い、保坂和志コーナーの前に行っていくらか考えたところ『小説の誕生』が取られて、それで開いたら、開いて一行二行読んだら、なんだか一気に気持ちが開けた。俺今晩ずっとこれ読んでたい、というふうに即座になって、喜びに満ち満ちた生が帰ってきた。簡単だった、それで、最初がミシェル・レリスの日記というか『ミシェル・レリス日記』からの引用で、ミシェル・レリス日記、これは、『幻のアフリカ』とはまた別の何かなのかな、と思って検索したところ、そういう日記があるらしくて、1922年から1989年までの、みすずで2冊で出ているらしくて、5000円くらいと8000円くらいで、怯む金額で出ているらしくて、まあまずは『幻のアフリカ』だろう、とは思ったのだけど、そのAmazonに行く前の検索結果のページで、いくらか下におりていくと、「思うに、最も加工せず、生【なま】な書き方をしたのがレリスなのではないか。加工しないから、前述のエッセイとも何とも分類不能な短文を集めた本がレリスには多いのだ。」という文章があり、そうだよ、なまな書き方、これだよ、と思って、いいこと言う人だな、このブログは読んでみたいな、と思って開いた、開いたら、ずいぶん古いつくりのウェブサイトで、読んでいたら、あれ、これって、と思って、アドレスバーを見たら「k-hosaka.com」とあり、だから保坂和志のウェブサイトだった。日経新聞、「半歩遅れの読書術」1回目、とのことだった。
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