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今日の一冊

Entry 0522

ジャック・ロンドン『犬物語』(柴田元幸訳、スイッチパブリッシング)

山口です。『マーティン・イーデン』を読んで感動したので、近所の古本屋で『どん底の人びと』を買いました。ジャック・ロンドンというおじさんのことが好きになりました。
ジャック・ロンドンというおじさんは十五歳の時サンフランシスコ湾で牡蠣を盗みまくっていて、「牡蠣泥棒の王子」と呼ばれていたそうです。なんと魅惑的な称号でしょうか。これが「万引きの王子」や「空き巣の王子」だと全く何の煌きも発しませんが、「牡蠣泥棒」という具体性を帯びた瞬間とてもロマンチックなものに思えてきます。犯罪ですね。ダメです、人の牡蠣を盗んでは。
『犬物語』には「野性の呼び声」が収録されています。おじさんがドカン、と有名になったきっかけの作品です。「代表作」と呼ばれるものが、ジャックの暮らしとかけ離れているように思えて少し驚きました。いや、まだ「野性の呼び声」読んでなくて前半の他の短編を読んでる段階なので、こんなことを言うのはきっと良くないんでしょうけど、純粋に「あ、へー、ヒット作が犬の話なんだ、意外」と思ったのです。『マーティン・イーデン』と『どん底の人びと』を読んでいるからでしょう。
お笑い芸人の友達がいます。お金がないお金がない、売れたい売れたい、と嘆きながら、そんなことを微塵も感じさせないネタを書きます。そんなの当たり前だよ、と言われるかもしれませんが、舞台上に実生活を全く持ち込まない彼の姿勢を見るたび震えます。いつまでも自分のことばかり書いている俺って一体……。と、恥ずかしくなるのです。

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