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今日の一冊

Entry 0409

リチャード・ブローティガン『芝生の復讐』(藤本和子訳、新潮社)

山口です。二十五歳です。大学三年生になる時にゼミを選ばなくちゃいけなくて、掲示板に貼り出された各ゼミの募集要項みたいなものを読んでいたら、どれもよくわからないことばかりが書いてあって、読んだところで「え、結局何を勉強するの」と思うようなゼミばっかりでした。長々と説明が書いてある割に何も伝わってこなくて、それは僕が馬鹿なのも大きいんですが、募集要項ぐらい伝わる可能性が高い言葉を選んで書いてくれよ、と思って立っていました。二十歳でした。確か掲示板の左上の方に、「条件:ことばが好きな人」と、唯一、一文だけしか書いてないゼミがあって、内容も、アメリカの詩をみんなで読みます。みたいなことが端的に書かれていました。短いから良いということではなくて、長くても短くてもそれが正確かどうかが僕にはとても大事でした。エズラ・パウンドという人が「詩はチャージだ」と言ったよ、と教えてもらいました。一単語に意味をぱんぱんに充填しろ、ということらしいです。先生の「ことばが好きな人」という一文も多分ぱんぱんで、僕はそのぱんぱん具合がとても好きだったのかもしれません。色んなことをたくさん教えてもらって、ブローティガンの『西瓜糖の日々』を読みました。内容はもうあんまり覚えてないけど、あの本のことを思い返すと「ぱんぱんだったな〜」という感想が出てきます。あと、「慎太朗くんはA=C、と飛躍する癖があるから、A=B、B=C、よってA=C、と書いてね」と注意されたこともよく覚えています。あまりにも的確過ぎて衝撃を受けました。そして今書いていて気付いたんですが、「慎太朗くん」と下の名前で呼ばれていたんだなぁ、と。「ぱんぱんだな〜」の感覚をもう一回味わいたくて、今は『芝生の復讐』を読んでいます。すっごいぱんぱんです。

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