本の読める店

会話のない読書会 ジョン・ファンテ『満ちみてる生』

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(受付終了いたしました)

「会話のない読書会」は「同じ本を同じ場所で同じ時間を共有して見知らぬ人たちと一緒に読む」、という読書会です。
読んだあとに参加者同士で話し合ったりもせず、ただ黙々と、好き好きに飲み食いしながら本を読む、ただそれだけが、なんだかすごい濃厚かつグルーヴィーな体験に、なれ、みたいな企てです。
(参考:第1回の開催後記

会話のない読書会04
日時 11月30日(水) 20:00~22:30
open19:30 / close24:00
場所 フヅクエ
読む本 ジョン・ファンテ『満ちみてる生
(本はご用意ください)
料金 1,500円
「2ドリンク」or「1ドリンク+つまみ/ケーキ」。
+300円/500円で「1ドリンク+軽食/食事」に変更可。当日のお申し出で大丈夫です。
定員 10名
予約 メール 、あるいはFacebookTwitterのメッセージから
内容 「読む本」を読みます。
適宜飲食物をオーダーしつつ、飲み食いしつつ、自分のペースで読みます。
この日から読み始めるでもいいし、この時間で読み終わるような箇所まで進めて来るでもいいし、再読するでもいいし、好きなように読みます。
途中で疲れたらしばらく他の本であるとかに退避可。外出しての休憩も可。映画館同様途中で帰るのはできるだけ我慢。
22時半で終了のお知らせ。
閉店時間までは残って読み続けてもいいし人と話してもいいしもちろん帰ってもいい、という感じです。

「会話のない読書会」第4回は、ジョン・ファンテ(1909〜1983)が1952年に発表した『満ちみてる生』の邦訳が先日出た、ということでそれを読みます。ファンテはイタリア移民第二世代なアメリカ人で、っていうことくらいしか知らないんですが、初期短編集なのかな、『デイゴ・レッド』を以前読んで、それがまあすごくよくて、瑞々しくてほんと、なので「新しいの出たんだ!」というところで読まにゃ読まにゃというところで、の読書会です。

 
『デイゴ・レッド』がどうよかったかというと、これは全体的になんというかアメリカのイタリアンな一家がなんかわちゃわちゃやってる感じな短編集だったんですが、家族の話だけじゃなかったとは思いますが、たどたどしい英語を話すおばあちゃんとか、無茶苦茶なお父さんとか、我慢強いお母さんとか、ガキんちょたちとか、いろいろ。映画『ブルックリン』を見たときにイタリア系の一家が出てきて「わーこれこれ」と思ったあのわちゃわちゃ感で、いろいろ。瑞々しくてかわいらしく残酷でけっこう辛辣というか陰惨・陰鬱なこともあるけれど、元気かどうかでいえばとても元気、みたいなそんな調子の、やつで、とてもよかったと、マジで説明になってないなと、深くうなだれながら今、これを打っているのですが、というところで一節を引用してみると、

僕は今、歌っている。僕はもうすぐ、家に帰る。たいへんな熱意でもって、僕は迎えられるだろう。スパゲッティや、ワインや、サラミが、家には用意されているだろう。母さんはテーブルの上に、僕が子供だったころと変わらない丁寧さで、数え切れないほどの皿を並べる。なにもかもが、僕のためだ。母さんの愛が食卓を覆いつくし、弟たちや妹は、僕の帰宅にすっかり満足する。なぜなら僕は、けっして間違うことのない、いちばん年長のお兄さんだから。それから弟や妹は、僕のために催される歓迎の宴に、少しばかり嫉妬する。僕の話すことを聞いて、あいつらはどれほど笑うだろう。フォークに巻きつき身をくねらしているスパゲッティを口いっぱいに詰めこみながら、もっとチーズをくれと叫び、歓喜の呻きをもらす僕を見て、あいつらはどんな微笑みを浮かべるだろう。この人たちが、僕の家族だ。そして僕は家族のもとに、母さんの愛のもとに、もうすぐ帰りつくだろう。 僕は自分のグラスを父さんに渡し、こう言うだろう「ワインをもっとくれよ、父さん」すると父さんは微笑み、甘美な赤い液体を、僕のグラスに注ぎ入れるだろう。僕は言うだろう「やったね!」それから僕は、ゆっくり、たっぷりと、ワインを喉に流しこみ、腹がぽかぽかと、心臓がちくちくと、耳がぱちぱちとしてくるのを感じる。そんな僕を見て、母さんが言う「急いではだめよ、もう」僕は母さんをじっと見つめる。僕が何度も、繰り返し泣かせてしまったその瞳を、僕は見つめる。後悔の念が僕の骨に、にぶい痛みを引き起こす。けれど、それもほんの短いあいだしかつづかず、僕は母さんに向かって言う「あぁ、母さん、この若者のことは、心配しなくて大丈夫だよ。こいつはすっかり、頑丈だからさ」すると、母さんだけが知る幸福のために、母さんは微笑みを浮かべる。そして父さんも、ほんのすこしだけ微笑みをもらす。だって、父さんは今、自分の肉と血を見ているのだから。腰のあたりに、僕は鋭い痛みを覚え、父さんの視線を避けようとする。父さんの瞳は、喜びを隠す術を知らない。 ジョン・ファンテ『デイゴ・レッド』(P248)

よくって、長いよなと思いながらも止められなくなっちゃったんですが。これは「お家へ帰ろう」の冒頭で、僕は「ディーノ・ロッシに花嫁を」という話がいちばん好きだっというか強烈に印象に残ったというかこれはなんというか物凄かった。と、『デイゴ・レッド』の紹介をしたところで、という感じですが、そんなわけで『満ちみてる生』、220ページくらいとのことで読みやすい長さでもありますし、「ジョン・ファンテって誰???レッドソックスの監督の?あ、ハッピーの人?あ、じゃなくてジョーズとかスターウォーズとかの曲作った人?」という方にとっても試していただきやすいのでは、ないかと、そのように、思うわけでありまして、そんなわけでご参加をお待ちしております!

追記:読んだ

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