本の読める店

適当な労働時間の必要

Entry blog fuzkue274

金木犀がふわっと香ってきたところで切なさしか覚えないんだよふざけんな消え失せろ!と何度か思ったりしながらの一週間が終わりを迎えようとしている。
今週は定食川越の店長さんが新婚旅行で不在だったため定食屋のシフトを一週間こなす、ということをやっていた。8月まではずっと、というか5,6,7月だから3ヶ月か、3ヶ月のあいだやっていたことだったけれど、久しぶりにそれをやってみると「こんなことよくもまあやっていたな」と思った。朝から準備して、ひたすらにこなして、終えたら買い出し行って、仕込みして、フヅクエの営業を迎えて、という、立派でしたねと。よくやっていたなと。

「よくやっていたな」だし、「やっぱりこれはいけないことだな」でもある一週間で。
というのも、その前の週は対照的で、シルバーウィークで水曜までは定食屋の営業はなく、平日になった木金も「せっかくだし」みたいなところで営業しないことにして、一週間のあいだフヅクエしかやらない、ということをやっていた。これはこれですごい久しぶりというか5月の定食屋開始前以来だったわけですが、その一週間は土日祝は4時から、後ろの木金は6時からというので、起きてから営業を迎えるまでになんというかすごい時間がある。
単発の土日のときは「すごい時間がある」という感覚はそんなでもなく、その二日でやらないといけないこともわりとあったりするので逆に「2時には始めないと」みたいなところで、「2時って意外に近いぞ」くらいなのだけど、それが4日も5日も続くと「すごい時間ある」に変容して。

で、そんな余裕のある一週間で、退屈だったり何か虚しかったりもしたのだろうけれど、なんやかんやと大体の時間を仕事に当て続けていて、作りなおしたメニューのさらなるブラッシュアップとか、シロップ関係のなんやかんやとか、秋冬なサンドイッチを検討し始めたりとか(実際は『サンドイッチの発想と組み立て』をパラパラ読んでいただけだけど)、いろいろドリンク作って試してみたりとか、あとはあれですね、レモンのパウンドケーキ焼いたりとか、あとはあれですわ、超白眉だったというか「なんだこれ美味しすぎだろ第一回にして…!」という激ウマのカボチャのケーキを焼いたりとか。

カボチャケーキとか、たぶんそのいくらか前に定食のおかずでカボチャサラダを作った時に、ポテサラとかああいうの作るときって茹でてお湯捨てて粉ふきにして潰したり潰しきらなかったりして歯ごたえ残しつつ、みたいに僕はやるんですけど、ちょっと忘れていたらゆるゆるまで茹でちゃって、「あちゃ〜」とか思ったんですけど、結果としては美味しかったので別段よかったんですけど、で、そのゆるゆるカボチャを見たときに何かが吹き込まれたんじゃないかと思うのだけど、数日後の木曜に「かぼちゃケーキ…」と思い、翌金曜、起床の瞬間に「焼きたくてしかたがない…!」で速攻みたいな、本当にただの勢いだったんですけど。

まあいずれにせよ、ゆとりのある一週間はそういうことをやっていて、多分、これらはとてもよいことだったんだと思うんですよね。
それこそ、定食屋の時間を人にお願いしたときの根拠とした「時間を買うことでフヅクエをよりよくするために時間を割ける」みたいな、そんなこと書いた気がするけど、僕は「どーせお前はなにもやらんだろ」と思っていたのだけど、こういうことの一つ一つがそういうことなんだろうなと。

ともあれ、そういう一週間を過ごしたあとの今週に関しては「いろいろやりたい…!」を燻らせながらも「無理っす、全然ないっす余裕、余裕で余裕ないっす」みたいな感じで何もやらなくて、まあこうなるよなと、わかっていましたよと、そういう感じで。
なので、対照的な週を二つ過ごしたことで、やっぱり現体制というか、定食屋は人にお願いして、昼間はつれづれにというか、本読みたければ読めばいいし、飽きたならケーキ焼けばいいし、みたいなこの感じがよいですな、と思ったので収穫でした。

まあ、本当にただの勢いというか、一瞬で廃れる流行みたいな気はしてるんですけどね、このなんかいろいろ作ってみたいぞとかそういうやつ。特にケーキ焼きたい系パッションは高確率ですぐ消え去りますね。こんなの続くわけがない。これは予言であるとともに、「その予言ちょっと裏切ってくれたら俺ちょっとお前見直すというか嬉しいぞー」というちょんちょんみたいな、このちょんちょんは人差し指で肩をつついてるイメージなんですけど、というあれでした、という話でした。

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