本の読める店

10年後もこの店はあるのか

Entry blog fuzkue249

これ先日の人雇った経緯的な話の続きなんですけど。

様々な危機感がある。
もっとも怖いなーと思っているのがなんらかの理由でこの場所で商売を続けていくことができなくなることで。最たるものとしては地震とかで倒壊とか。確か築50年くらい経っている建物なので取り壊すので立ち退きをとか。(そうなったときって契約書上だと双方の話し合いの上みたいな感じだけど、補償的なものって普通どうなるものなんだろうな)
あとはなんだろうな、僕の体がダメになったときとか。病気でもいいし腰をやって立ち仕事が…とかでもいいけれど、というかいいというか嫌だけど、そういうやつ。
あと中年とかになったときにこの店の受容のされ方と自分の存在というか風貌とかが齟齬をきたしたりとか。今もきたしているかもしれないけど。

様々っていってもそんなところかな。
あ、あとはあれか、似たような店が他にできてここが誰からも顧みられなくなるとか。(顧みられていないうちからそんなこと言うのもあれだけど。それに似たような店もなにもフヅクエ自体が後発だしというか)
あと定食屋に関しても同じで、近くに同じような内容の定食をもっと廉価でもっと美味しく出すみたいなところができてみんなそっち行っちゃうとか。

そんなところかな。
これらはオープンした段階から明確に意識していて。誰も来やしないんだからまず目の前を心配しろよと思うのだけど、それはそれとして「これ地震でダメになったら俺どうなるんだろう…」「15年後とか俺おっさんだけどどうなるんだろう…」みたいな。

そんなわけで要すると僕は初台のビルの2階のこの箱が唯一の収入源という状況は怖いとずっと思っていて。
こんな店をやっておいてバカのような発言だけど僕はけっこうなところ安定志向なので、卵を一つのカゴに盛ってチャリ乗っていることへの恐れや怯えを拭うことができない。カゴを複数にして、両手と前カゴと後ろの荷台に乗っけて、あとリュックに入れて、それで転倒して全部グシャリ、そちらのほうがいい。ちょっと何言ってるのかわかってないですが。

で、そうしたらどうするかっていう話で。
なんらかの他の場所を作るとか。あるいは僕が何かしらのスキル的なものを身につけて何か他に稼ぐ手段を得るとか。

で、何をするか。
っていうときにやりたいことっていうのがこれといってないんですよね。
フヅクエは「こういう場所がほしい!」という僕の強い欲望から生み出された場所で、そしてその欲望が運よく商売的なものと結びつくものだったからこうやって作って、営業して、生活の糧を得て、というふうになっているのだけど、やっぱりこういう順序じゃないとやる気にならないよなというのがあって。
だから新たな欲望を創出しないといけない。
というときに、スタティックでひとつところに留まっている生活ではなく、色々な刺激を得る生活をしていかないといけないだろうなーみたいなところがあって。刺激は本とか映画からでも人からでも場所からでもなんでもいいのだけど。それでいつか「は…!」という瞬間が訪れる的な。それ待ち的な。

早いかなと思ったけれども定食屋を人に任せることにしたのはそういう理由もあってというか、前回書いたように気力体力充実した状態でフヅクエに臨むというのももちろんそうなのだけど欲望の件もわりと大きかった気がして、という話で。
定食屋で労働していて僕が得られるもの、何かにつなげていけるものってないような気がして、あるとしたら大金持ちの人が来て「いい定食屋だね」つって「君に5000万円あげようか」みたいな、そういうラッキーがあるかないかっていうくらいで。
あと定食屋やってて、完全に余談なんですけど思ったのは、こういうヘルシーだけどコンシャスじゃない定食ってけっこう需要あるんじゃないの?いろいろな町で適当な潰れかけの店とか買い取るか何かしてやったら意外にいけたりしないかしら、みたいな、生まれたのは新たな欲望ではなくただの金稼ぎアイディアでした、っていう話なんだけど。

まあともあれ、「とりあえずはフヅクエに注力してちゃんとした店にしなさいよ」という向きもあろうけれど、フヅクエ注力と欲望の育みは両立するので問題なしというか、それよりも不安を抱えたまま対策を打ちもせずに暮らしていく方が怠惰だと思うので、なんかこう、5年後10年後に今よりも安心してこの場所に立っていられるように、なんかこう、いつか何かが芽生えたりするといいですね、そしてそれが何かになったらいいですよね、という話でした。

photo by 東間 嶺

「フヅクエの日々」の他の記事